インサイトを考慮しなかったペット用品のSNS広告
生活者は、単純に「物を買う」のではなく、必ず「物を買うときの自分の気持ち・動機」を持って購買行動をします。
たとえば、生乾きの臭いがしにくい、『漂白剤入り洗濯用洗剤』を購入するときを例にとりますと、生活者は「生乾きをさせたくない」からその洗濯用洗剤がほしいのではなく、それは当たり前のことで、「洗濯をして、生乾きのにおいがすることなく良い香りに包まれて、いきいきとしたさわやかな日常生活を送りたい、または家族に送ってもらいたい」と思っていることは予想されます。
そのため、単純に洗濯用洗剤の機能をうたった広告コピーでは、上記のようなインサイトをもつ生活者には響きません。
その先の、梅雨のじめっとした時期でも、さわやかな香りで生き生きと日常のシーンがビジュアルにあることで、その製品を購入した先の自分を想像でき、共感し、製品購入へと結びつけるのです。
さて、話は戻り、ゴールデンウィーク中に私は下記のようなSNS広告に出会いました。
イメージで再現しておりますが、実際は、広告コピーとお留守番をしている犬のかわいらしい動画が流れます。
これはWEBカメラの広告でゴールデンウィーク期間中かなりのお値引で購入できるという内容でした。
一見良さそうな広告ですが、これは飼い主のインサイトをあまり考慮していない例と言えそうです。
なぜなら、多くの飼い主は自ら望んでペットに留守番をさせるのではなくやむなく留守番をさせます。
今は犬や猫も家族の時代です。番犬・自由に遊ぶ外猫の時代ではありません。
そんな中、
『ゴールデンウィーク期間にWEBカメラが安いので、この機会に買いたい、そしてペットに留守番をさせて自分たち人間だけのびのびと安心しておでかけしたい』
というインサイトは果たして適しているのでしょうか。
しかも、この広告はかわいらしい柴犬の赤ちゃんがカメラを見ながら首をかしげているかわいらしい動画です。こんなパピーちゃんをおいて、お天気のいい日に飼い主だけ遊びに行くでしょうか。
もちろん、やむなくそのようにしなくてはいけないこともあります。
しかし、罪悪感を感じる飼い主はおそらく多いのではないかと思います。結果、あまり心に響かない広告となってしまっていると感じました。
私が考える改善案としては、【やむを得ず留守番をしてもらわなくてはいけない】=日常の設定で広告コミュニケーションをした方が良いのではと思います。
『ゴールデンウィーク、愛犬・愛猫とたっぷり楽しい時を過ごしたあなた。さて、連休も終わってお仕事も開始です。愛犬・愛猫のことがふと心配になりませんか?もしかしたら愛犬・愛猫もさみしい思いをしているかもしれません。でも〇〇があれば安心。ペットの様子がいつでも見られて、大好きな飼主さんの声を聴かせてあげることもできます。』
そう、出稿タイミングは今、まさにゴールデンウィークが明けた今なのです。
いかがでしょうか?
インサイトには正解はありません。また、1つではありません。しかし、インサイトを考慮して広告メッセージを作るのと作らないのとでは、方向性にかなり違いがでてくるのをお感じいただいたのではないでしょうか。